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3分でわかる「けんちく体操」

1/6「けんちく体操」を世界に!

(2013年4月改訂版)

 2010年7月、私、大西(体操マン2号)と田中(体操ウーマン1号)は、SNSを通じて再会した米山勇さん(体操博士/江戸東京博物館研究員)から、ひょんなお誘いを受けました。

「けんちく体操ワークショップに参加してもらえませんか?」

 実態はよく分かりませんでしたが、面白そう。当日現地へ行ってみると、そこには30名弱の親子が集まっていました。私たちはてっきり一参加者として楽しむのかと思っていたら、何でも子どもたちと対決するヒール役として舞台に立ってほしいのだとおっしゃるのです。
 そもそも「けんちく体操」は2002年に、子どもを対象としたワークショップとして、当時、江戸東京たてもの園の研究員だった米山勇さんと学芸員の高橋英久さん(体操マン1号)がはじめたものでした。(しかし、子どもたちを相手に少し恥ずかしかった部分もあったのでしょうか。それまでの約10年間に4回しか行われていなかったのだそうです。)


2/6「けんちく体操」って何?


 「けんちく体操」ワークショップとは、具体的にはこういうものでした。まず、建物の写真をプロジェクターで大きく映し出す。参加者はそれをじっくり観察して、即座に自分の身体でその形のマネをする。その際、マネをするのは建物全体でもいいし、部分でもいい。
 参加者にとって、建物を細部に至るまで、まじまじと観察することは、そのときがおそらくはじめてになるようでした。最初はひとりで東京タワーなどの建物にトライ。やがて2人、3人、そして終盤は10名ほどのチームをつくり、シドニーのオペラハウスやお台場のフジテレビ本社といった、より複雑で大きな建物にトライしていきます。人数が増えれば増えるほど、参加者たちの圧倒的なクリエイティビティに驚かされました。その場で出会った人たちが、瞬時に「けんちく体操」を設計し、意見を交わし合意をとりながらつくりあげていくのです。

 みんな、いつの間にか建築家さながら。そして、身体の形ができあがった瞬間、参加者は皆、建物になりきりじっとします。これを私たちは、「建築体質」と呼びます。ワークショップでは、建物のマネをしたらはかせの合図があるまでは、じっとしていなくてはいけません。「はかせ!早く僕らの体操を見て!!」そう思っているとやがて、身体が悲鳴をあげはじめます。意外とじっとしているのはきつい。そのときに参加者たちは「建物の気持ちが分かる」といいます。そうこうしているうちにはかせの建物の解説と体操の批評がはじまっています。参加者自身による観察と思考、身体表現の上に解説が同時に合わさっていくようです。
 これは後日談なのですが、ある親御さんからこんな話を聞きました。お台場を通りかかったとき、ワークショップに参加した子どもが「あの建物は、この前やった建物だ!」と指を指して叫んでいたのだそうです。子どもたちの建築に対する眼差しに、ある種のスイッチを入れたということなのでしょう。かつて、一般の人々を楽しみながら建築へと誘う、こんなにも魅力的なコンテンツがあったでしょうか。その感動した想いを、私たちは強く米山さんに伝えると「これからは一緒にどんどん盛り上げてもらえると嬉しいです」と言っていただきました。


3/6 伝えるためのメディア展開


 そうして体操マン2号、体操ウーマン1号として、私と田中は共に正式メンバーに加わり「チームけんちく体操」を結成することになりました。私たちは、より効果的に「けんちく体操」というコンテンツを広め、その使い方を拡張させるべく、口コミから書籍化のチャンスを掴み、書籍「けんちく体操」(2011/エクスナレッジ)やDVD「けんちく体操」(2011/ポニーキャニオン)をつくりました。また、出版と同時にホームページFacebookを立ち上げ、日々「けんちく体操」の魅力を発信し続けています。
 結果、新聞や雑誌、テレビ、ラジオと、あらゆるメディアから取材や出演依頼がありました。ついには国民的番組「笑っていいとも!」にまで出演を果たしました。全国の一般のより多くの人々に知ってもらいたいという思いで、今でも精力的にメディア出演に対応しています。

 そんなことも後押しとなり、ワークショップも東京だけではなく地方都市、また大型イベントのオープニングなど、さまざまな場所や団体から依頼をいただくようになりました。2010年7月にチームけんちく体操を結成してから約2年間の間に、約40回のワークショップを行いました。その中で、回を重ねるごとに、参加者は子どもだけではなく、成人そして年配の方の参加も徐々に増えていきました。


4/6 教育プログラムとしての可能性


 一方で、アカデミックな場でも評価を受けました。
 建築に関する子どもに対する教育コンテンツへの賞として2011年にはじまったゴールデンキューブ賞(審査委員:伊東豊雄)に応募し、特別賞を受賞しました。このことがきっかけとなり、2011年9月に行われたUIA東京大会(建築界の国際会議)の「子どもと建築」のセッションにおいて、日本代表としてプレゼンテーションをする機会をいただきました。十数カ国の建築教育関係者はみな声をそろえて、年齢や国籍を超えて誰しもが即座に内容を理解できること、また言葉の壁を越えて手軽に参加できること、その効果に驚いていました。
 また、2013年4月には、「2013年日本建築学会教育賞(教育貢献)」を受賞しました。私たちの草の根的な活動に、日本建築界最高峰のアカデミックな団体に評価していただいたことは、何事にも代えがたいうれしさをいただきました。

 さまざまな教育機関で具体的な教育コンテンツとしても注目されはじめています。
 2011年6月に栃木県真岡工業高校の授業の一環として取り入られたことを皮切りに、その秋には、三重県亀山西小学校の3年生74名が、文化祭の出し物として約20個の「けんちく体操」を集団演技【youtube1, youtube2】、さらに東京の月島第二小学校では、通級指導学級(情緒障害等)で行ったワークショップがきっかけとなり継続的に授業の中で取り入れられはじめています。月島第二小学校の先生は、その教育効果について論文にまとめてくださっています。在宅福祉サービスのある会社からは、障害者を対象としたワークショップでも活用したという報告も届いている。

 このように、私たちが出張する通常のワークショップだけではなく、幼稚園や小学校、専門学校、大学、そして高齢者施設においても取り入れられることが増えてきています。そのような広がりに対応するために、私たちは「マイスター制度」をつくりました。ワークショップのノウハウを教え、全世界に「けんちく体操」博士マイスターを増やしていきたいと考えています。当初の想定を越えた「けんちく体操」の可能性を、一般の人々が自由に描き、アレンジして取り組んでくれている好事例は、これからも増えていきそうです。


5/6 そして、「けんちく体操」は世界へ!


 私たちの大きな夢は、2つあります。
 ひとつはどこか旅先で記念写真を撮るときにただ直立不動するのではなく「けんちく体操」をしてほしいということ。ただ何となく写真に映り込むのではなく、もう一度背後の建物をみんなで観察して「けんちく体操」をして写真を撮る。きっと何よりもハッピーな記念になるに違いありません。
 もうひとつは、記念写真を含めたこの「けんちく体操」の試みを、日本だけではなく世界中に広めるということだ。ワークショップも近いうちに海外での実現を願っている。

もうひとつの夢は、世界中で撮影された「けんちく体操」記念写真を位置情報と共にグーグルマップ上に投稿できるものをつくること。これができれば、仮想の地球が「けんちく体操」の写真で包まれて、世界のいろんな建物の、いろんな国の人たちによる「けんちく体操」を見ることができる。上の写真は、先のドイツ遠征時にドイツ国内で撮影したもの。左のような写真は、もうこれからはNGです!



 そう願っていたら、ドイツのバウハウス大学から建築教育関連の国際シンポジウムへ招かれたのです。
 2012年4月末、チームの代表として田中が、ドイツのワイマールを訪問し、シンポジウムにおいてプレゼンテーションと現地の人々とともにワークショップを行いました。参加者たちの反応には、凄いものがありました。皆、「けんちく体操」の楽しさと効果に興奮していました。言葉なしで国境を越えることができる! 確実に「けんちく体操」はそれを証明したのでした。
 ドイツでのワークショップが終わると、その参加者の一人からメールをいただきました。この2012年9月にスウェーデンで「けんちく体操」ワークショップをさせて欲しい。もちろん私たちは快諾しました。そして、数ヶ月後、スウェーデンで行われたワークショップの写真が届きました! これからも着実に「けんちく体操」の輪は世界中に広げていきたいと考えています。


6/6 さまざまな形で、人と建物をつなぐ装置として


 本やDVDというように、ワークショップではないもので「けんちく体操」を普及させていくことも継続的に行っていきたいと考えています。
 2012年6月からは、成田空港の搭乗口に新たに設置される巨大なビジョンに世界中の建物にトライした「けんちく体操」の映像が日常的に流されています。ある広告制作会社とアートディレクターの古平正義さん(本やDVDのデザインをしてくださった方)、そして私たちチームけんちく体操とその仲間たちによってつくられ、とても楽しいものに仕上がりました。「けんちく体操」を広める!そのためには、今後もいろんな分野の人たちとのコラボレーションを図っていきます。


 「けんちく体操」には、人々が建物を意識するきっかけの種を植え付ける力があります。何十回もワークショップを重ねる中で、そう確信しました。だから、私たちは、この活動をライフワークとしたいと思っています。きっとその先には「人々と建物」のより良い関係とよりよい社会が育まれるに違いないと信じているからです。

 ここまで読んで「まさかね?」と疑う方は、是非、初級編「東京タワー」にでもトライしてみてください。そう、足を大きく広げ力強く踏ん張り、手を天高く突き上げる。その姿勢で30秒!ほら、何か、今までに無いものを感じませんか?それが「建築体質」なのです。


けんちく体操マン2号/おおにし・まさき

連絡先 > > > info@kenchiku-taiso.com

/// けんちく体操 3つのルール!

誰でもどこでも楽しめる「けんちく体操」のルールは3つ!ピースサインはもう禁止!あなたの街や旅先のいろんな場所で、「けんちく体操」を楽しみながら記念写真を撮ってみてください。

【1】身体以外は使わない!(飛び道具を使わない・衣服で表現しない)
【2】自分の好きなようにやる!
(体操マンたちや人の真似をしない)
【3】体操が完成してもすぐにやめない!(建物になりきることが大事です)

/// メディア出演情報

・2013/12/18:フジテレビ「ジマング」
・2013/05/14:FMヨコハマ「E-ne! ~good for you~」
・2013/04/29:FM J-wave「TOKYO MORNING RADIO 別所哲也」
・2013/04/24:読売新聞夕刊
・2013/04/08:FM J-wave「TOKYO MORNING RADIO 別所哲也」
・2013/03/09:週刊誌「フライデー」
・2013/03/01:週刊誌「週刊ポスト」
・2013/02/11:ブログ「「住宅都市整理公団」別棟」

/// ワークショプ開催マップ(世界編)


/// ワークショプ開催マップ(日本編)




「けんちく体操」は、さまざな教育機関でも取り入れられはじめています。三重県亀山西小学校では、「けんちく体操」をベースに演技プログラムをつくり、文化祭などの学校イベントで発表されています。映像は、2011年11月に私たちが表敬訪問した際の映像です。



全国に広がりはじめている「けんちく体操」。いろんな人がいろんな場所で「けんちく体操」を楽しんでいる写真を、ここに集めています。あなたも是非、日常の中で楽しんでください!!